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無料ボイスチェンジャー (Windows) の選び方
無料で使えるボイスチェンジャーを方式別 (DSP / AI 変換 / 録音後編集) に整理。仮想オーディオデバイスで Discord・OBS に流す構成と、選択基準
要点: 手軽さなら Voicemod 無料版か Clownfish、声質を大きく変えるなら RVC 系 AI 変換 (NVIDIA GPU 推奨)、録音済み音声なら Audacity を使う。
候補一覧
| ソフト | 方式 | リアルタイム | 無料範囲 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Voicemod | DSP エフェクト | 可 | 無料版はボイスが日替わりで一部のみ | 導入が最も簡単。アカウント必要 |
| Clownfish Voice Changer | DSP エフェクト | 可 | 全機能無料 | システム全体のマイク入力に適用 |
| MorphVOX Junior | DSP エフェクト | 可 | ボイス数が限定 | 有料版 MorphVOX Pro の機能制限版 |
| Graillon 2 (Free) + VST ホスト | ピッチ / フォルマント変更 | 可 | Free Edition あり | 声を高く/低くする用途向け。VoiceMeeter Potato や Light Host で使う |
| w-okada voice-changer (RVC 等) | AI 音声変換 | 可 | オープンソース | 別人の声に近づけられる。GPU 負荷が高い |
| Audacity | 録音後に編集 | 不可 | オープンソース | Effect → Pitch and Tempo → Change Pitch |
方式の違い
- DSP エフェクト: ピッチシフト・フォルマント・リバーブ等を信号処理で掛ける。CPU 負荷と遅延が小さい。元の声の特徴は残る。
- AI 音声変換 (RVC 等): 学習済みモデルの声質に変換する。変換後の声は元の声から大きく離れる。GPU (NVIDIA / CUDA) がないと遅延が大きくなる。モデルは配布元の利用規約を確認する。
- 録音後編集: 遅延の制約がないため品質を優先できる。配信・通話には使えない。
通話・配信アプリに流す構成
マイク → ボイスチェンジャー → 仮想オーディオデバイス (VB-CABLE 等) → Discord / OBS / Zoom の入力- Voicemod・Clownfish は自前の仮想デバイスを持つので VB-CABLE 不要。
- w-okada・VST ホスト構成では VB-CABLE (無料) を出力先にし、通話アプリの入力デバイスを
CABLE Outputにする。 - 自分の変換後の声は、ボイスチェンジャーのモニター機能かヘッドホンで確認する (スピーカーだとハウリングする)。
VRChat で使う場合
- PC 版 VRChat (デスクトップ / SteamVR / Quest Link・Virtual Desktop 経由) で使える。Quest 単体版には PC のソフトを挟めない。
- VRChat の設定 → Audio → Microphone で、ボイスチェンジャーの仮想マイク (
CABLE OutputやVoicemod Virtual Audio Device) を選ぶ。 - ヘッドセット内蔵マイクを使う場合は、ボイスチェンジャー側の入力デバイスをそのマイクにする。
- 会話では遅延が長いと応答がずれる。AI 変換はバッファ (chunk) を小さくすると遅延が減り、GPU 負荷が増える。VR 描画と GPU を共有するので、フレームレート低下を確認する。
男声 → 女声 (アニメ調) にする場合
- RVC 系: ピッチ設定 (w-okada の
TUNE) を +10〜+12 半音から始める。+12 で 1 オクターブ。 - DSP (Graillon 2 等): ピッチ +5〜+7 半音、フォルマントを上げる。ピッチだけ上げると声質が変わらず「早回し」の音になる。
- 入力の話し方で結果が変わる。語尾の抑揚を大きくし、声を少し高めに出すと変換後も自然になる。
入力の声が低い場合
- 成人男性の話声の基本周波数は 85〜155 Hz、成人女性は 165〜255 Hz。+12 半音で周波数は 2 倍になる。
- 必要な TUNE は 半音。例: 80 Hz → 200 Hz は +15.9。
- 入力が 100 Hz 以下なら +12 では女声の下限付近に留まる。+13〜+15 で合わせる。
- 地声の範囲で 2〜3 半音高めに話すと、F0 推定が安定し変換後の明瞭度が上がる。裏声にする必要はない。
- 口を横に開き、声を口の前方で響かせる発声にすると、フォルマントが上がる。
入力の声質 (鼻声等) が変換後に残る場合
- RVC は HuBERT 特徴量で発音内容を抽出する。特徴量に入力の声質の一部が残り、変換後に出る。
INDEXを上げる (0.75〜1.0): 特徴量をモデル学習データの特徴量で置き換える割合が増える。滑舌は崩れやすくなる。Protectを下げる (0.2〜0.33): 入力特徴量をそのまま通す区間が減る。- 入力を EQ で補正する: 鼻にかかった音は 800 Hz〜1.5 kHz 付近の強調として聞こえることが多い。Equalizer APO 等でこの帯域を −3〜−6 dB 下げて比較する。
- 学習データが少ないモデルほど入力の声質が残る。
w-okada voice-changer 導入手順 (Windows + NVIDIA)
- VB-CABLE を vb-audio.com から入れ、再起動する。
- GitHub
w-okada/voice-changerの README から Windows NVIDIA (CUDA) 版を取得・展開する。 - 起動するとブラウザで UI が開く (初回はモデル等の取得に数分かかる)。
- 入力 = 実マイク、出力 =
CABLE Input、モニター = ヘッドホン。 - モデル選択 →
TUNE調整 → F0 Detector はrmvpe(品質) かfcpe(軽量)。 CHUNKを下げて遅延を減らす。音が途切れたら 1 段戻す。- 通話・VR アプリのマイクを
CABLE Outputにする。
w-okada の主なパラメータ (RVC)
| 項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| GAIN in / out | 入力・出力の音量倍率 | 1.0。out で音割れしたら下げる |
| TUNE | ピッチシフト (半音) | 男→女 +12、同性 0 |
| FORMANT | フォルマント (声道長) の補正 | 0 から微調整 |
| INDEX | 検索特徴量の混合比 (0〜1) | 0.5〜0.75 |
| Protect | 無声子音を INDEX 混合から保護する度合い | 0.33〜0.5 |
| F0 Detector | 基本周波数の推定方式 | rmvpe (精度)、fcpe (軽量) |
| S.Thresh | 無音判定の閾値。これ未満の入力は出力しない | 環境ノイズが出ない最小値 |
| CHUNK | 1 回の処理単位の長さ | 小 = 低遅延・高負荷 |
| EXTRA | 推論に足す過去音声の長さ | 大 = 品質向上・高負荷 |
| CROSS FADE | チャンク境界の重ね合わせ比率・区間 | 境界でプツッと鳴る時に広げる |
| Silent front | 先頭の無音区間の推論を省く | ON で負荷減 |
遅延の主成分は CHUNK。GPU 負荷は CHUNK と EXTRA の比で決まり、CHUNK を下げたら EXTRA も下げる。
w-okada にモデルを追加する
- モデル一覧横の
editでスロット管理画面を開く。 - 空きスロットの
upload→ Voice Changer Type にRVCを選ぶ。 modelにモデル (.onnx/.pth/.safetensors)、indexに.index(任意) を指定 →upload。sampleを選ぶと許諾済みサンプルをダウンロードして追加できる。- 追加後、
Index比率を 0〜1 で調整する。高いほど元モデルの声に近づき、滑舌が崩れやすくなる。
保存先は model_dir/<スロット番号>/。
サーバーとクライアントを別 PC にする
w-okada は変換を行うサーバー (MMVCServerSIO.exe) と、ブラウザの操作画面 (クライアント) に分かれる。
| モード | 音声の入出力 | 変換 |
|---|---|---|
| client (ブラウザ) | ブラウザを開いた PC のマイク・出力 | サーバー PC の GPU |
| server | サーバー PC のオーディオデバイス | サーバー PC の GPU |
- 別 PC のブラウザから使う場合は
start_https.batで起動し、https://<サーバーIP>:18888を開く。ブラウザは http の非 localhost でマイクを許可しない。 - 自己署名証明書の警告が出る。サーバー PC のファイアウォールで TCP 18888 を許可する。
- client モードは音声が LAN を往復するため、遅延がネットワーク分増える。有線 LAN 推奨。
外出先から使う (Tailscale)
- サーバー PC を
start_http.batで起動し、tailscale serve --bg 18888を実行する。https://<マシン名>.<tailnet>.ts.netに正規証明書付きで公開される (tailnet 内のみ)。 - 事前に管理画面で MagicDNS と HTTPS Certificates を有効にする。
- 遅延は往復 RTT 分増える。
tailscale ping <サーバー>でvia DERPと出る場合は中継経由で遅延が大きい。直接接続 (via <IP>:<port>) を確認する。 - 帯域は 48 kHz モノラル PCM で片方向 0.8〜1.5 Mbps (16bit〜float32)。
声モデルの権利
- 実在の声優・アニメキャラの声を学習した非公式モデルは、本人・権利者の許諾がない。公開の場で使うとパブリシティ権・契約上の問題になり得る。日本の声優団体は無断 AI 音声に反対を表明している (2024 年、「NOMORE 無断生成 AI」)。
- 利用許諾付きの公式モデルを使う。例: w-okada voice-changer 同梱のサンプルモデル (つくよみちゃん、あみたろ、黄琴まひろ 等)。各キャラの規約でクレジット表記や禁止用途を確認する。
RVC モデルの入手先
| 入手先 | 内容 | 権利の確認 |
|---|---|---|
| キャラクター公式サイト | 公式 RVC モデル (つくよみちゃん 等) | 規約が明記されている |
| BOOTH | 個人制作のオリジナル声モデル (無料・有料) | 商品ページに規約がある |
| w-okada のモデル登録画面 → sample | 許諾済みサンプル | 同梱規約に従う |
| Hugging Face / Discord のモデル共有 | 数が多い | 実在人物の無断モデルが混在する。出所不明なものは避ける |
.pth ファイルの安全性
.pthは PyTorch の pickle 形式で、読み込み時に任意コードを実行できる。- 出所不明の
.pthは読み込まない。配布元が.onnxや.safetensorsを出していればそちらを使う。
選択基準
- まず試したい → Voicemod 無料版 / Clownfish
- 声の高さだけ自然に変えたい → Graillon 2 Free
- 別人の声にしたい、GPU あり → w-okada voice-changer + RVC モデル
- 動画ナレーション用 → Audacity
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