Control
限界感度法 (Ziegler-Nichols Ultimate Sensitivity)
I/D を切り P のみで持続振動する Ku・Tu を測定し、公式で PID gain を決める古典的なチューニング手法
要点: I と D を 0 にして P のみで動かし、Kp を上げて持続振動が始まる限界を探す。その gain (Ku) と周期 (Tu) から公式で PID gain を決める。Classical ZN の gain は overshoot 前提なので、Tyreus-Luyben 等の派生や、より安全なリレーフィードバック法が実務で使われる。
手順
I 項と D 項を 0 にする (, )
Kp を小さい値から徐々に上げる (等比数列で刻むと二分探索できる)
各 gain で外乱かステップ (目標値をパルス的に振る等) を入れる
応答を観察: 減衰は gain 不足、発散は行き過ぎ、一定振幅の持続振動が限界
振動の周期を Tu として測る (連続する山→山、5-10 周期で平均)
その時の Kp が Ku (限界感度)、周期が Tu (限界周期)。
チューニング公式 (Classical Ziegler-Nichols)
| 制御タイプ | Kp | Ti | Td |
|---|---|---|---|
| P | — | — | |
| PI | — | ||
| PID |
PID の直接表現:
、 の関係。
派生 (Classical はオーバーシュート大きめのため実務で調整)
| 手法 | Kp | Ti | Td | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Classical ZN | 4:1 減衰、~25% overshoot | |||
| Pessen (積分強め) | 追従重視 | |||
| Some overshoot | overshoot 少 | |||
| No overshoot | 過減衰・応答遅 | |||
| Tyreus-Luyben | プラント安定重視 (化学工業由来) |
Classical ZN はロボット系では gain 過大になることが多く、Some overshoot か Tyreus-Luyben から始めて実測で調整するのが一般的。
利点と欠点
利点: モデル不要 (プラント伝達関数が未知でも実施可能)、閉ループのままできる、手順が単純
欠点: 意図的に発振させるため実機では機構破損リスクがある、出る gain は overshoot 前提 (減衰比 1/4)、無駄時間が長い系や非最小位相系では精度が悪い
実装上のコツ
- soft limit を厳しく設定してから始める (機構がぶつからない範囲で振動)
- Kp は等比数列で刻む (
1 → 2 → 4 → 8 → ...→ 半分ずつ絞る、二分探索) - 振動を捕まえたら先に gain を下げて停止、その後解析
- の測定は 5-10 周期以上を平均する (ノイズ・非線形の影響を減らす)
- 位置制御軸では両側の soft limit での反射で振動を作れる
判定フロー
リレーフィードバック法 (Åström-Hägglund) との関係
限界感度法の派生。連続的な発散を起こす代わりに、リレー (bang-bang) で強制振動させて Ku・Tu を推定する:
- : リレー出力の振幅
- : 応答振幅
- : 極限サイクルの周期そのまま
Kp を上げすぎて発散するリスクがなく、産業実装では auto-tune の標準手段の 1 つ。
関連
最終更新: